不正確なパルスオキシメトリー測定値が新型コロナウイルス感染症を遅らせる

ファウジー A, 他 JAMAネットワークオープン。 2023;doi:10.1001/nationalworkopen.2023.30856。

ファウジー A, 他 JAMAネットワークオープン。 2023;doi:10.1001/nationalworkopen.2023.30856。

新型コロナウイルス感染症で入院した黒人患者の動脈血酸素飽和度をパルスオキシメーターが白人患者に比べて過大評価する頻度が高かったため、新型コロナウイルス感染症治療の遅れにつながったことが最近の研究で判明した。

ジョンズ・ホプキンス大学医学部助教授のアシュラフ・ファウジー医師、MPH、およびその同僚によると、パルスオキシメーターが過小評価された集団の動脈血酸素飽和度（SaO2）を組織的に過大評価し、「一般的に定義される潜在性低酸素血症」のリスクを高める可能性があることを証拠が示唆しているという。真の [SaO2] は 88% 未満で、パルスオキシメトリー (SpO2) による酸素飽和度は 92% 以上の正常範囲にあります。」

以前の研究で、Fawzyらは、過小評価が、新型コロナウイルス感染症で入院した少数患者における潜在性低酸素血症の可能性の増大と関連していることを発見した。 しかし、彼らの研究は統計モデリングに依存していたため、酸素飽和度の不正確さが本当に新型コロナウイルス感染症治療の遅れにつながったのか、またこれらの遅れが患者の人種や民族に関連しているのかどうかは不明のままだった。

さらに詳しく知るために、Fawzyらは、新型コロナウイルス感染症の入院患者2万4504人を対象に、SpO2とSaO2の組み合わせを同時に受けたコホート研究を実施し、パルスオキシメーターのエラーと新型コロナウイルス感染症のニーズの認識見逃しの可能性との間の潜在的な関連性と、遅延との関連性を明らかにした。治療法と再入院の確率、院内死亡率と入院期間。 患者は2020年3月から2021年10月までに入院しており、このうち17％が黒人だった。

研究者らは、10分間のSpO2が94%以上であるにもかかわらず、入院中の最初のSaO2が94%未満だった場合、その患者を新型コロナウイルス感染症の必要性が認識されていないと分類した。

Fawzyらは、白人患者と比較して、パルスオキシメトリーによるSaO2の過大評価の調整平均差は次のようになったと報告した。

少なくとも 1 つの SpO2 と SaO2 ペアが同時に存在し、COVID-19 治療の必要のない 8,635 人の患者のうち、黒人患者は白人患者よりも有意にパルスオキシメトリーの測定値が高く、その結果、COVID-19 治療の適応が隠蔽されていた（調整済み OR = 1.65） ; 95% CI、1.33-2.03)。

人種や民族に関係なく、目に見えない新型コロナウイルス感染症治療の必要性がある患者は治療を受ける可能性が10%低く(調整後HR = 0.9; 95% CI、0.83-0.97)、再入院の確率が高かった(aOR = 2.41; 95 % CI、1.39-4.18)。 研究者らによると、治療の遅れと入院期間や院内死亡率との間には有意な関連はなかったという。

パルスオキシメーターの過大評価は過小評価された集団で最も高かったが、潜在性低酸素血症を経験した患者と新型コロナウイルス感染症治療のニーズが満たされていない患者のそれぞれ13％と43％が白人であったと研究者らは指摘した。

この研究は、新型コロナウイルス感染症と診断された過小評価されている患者集団に焦点を当てているが、研究者らは、臨床医が他のいくつかの呼吸器疾患の治療決定にパルスオキシメーターを使用しており、不正確さや遅れが生じる可能性もあると指摘した。

「少数の人種や民族の患者では不正確さの発生率が高いため、これらの要因がより大きな役割を果たしている可能性がありますが、臨床医は、酸素化が治療の決定や臨床転帰に影響を与えるすべての患者においてパルスオキシメトリーの不正確さの可能性があることに留意する必要があります。 」と研究者らは書いている。

彼らは、これらの誤った推定は「他の急性呼吸器疾患や慢性呼吸器疾患における酸素補給にも及ぶ可能性があり、継続的な調査が必要である」ため、パルスオキシメーターの精度を向上させる取り組みが重要であると結論付けた。